池井戸潤さんは私と同じ八百津出身、加茂高校出身だ。にも関わらず彼の本を読んだことがなかった。
経営者になってから、長編小説を読むことがなくなった気もする。

でも先月ハヤブサ消防団の続編が出て、かつ名古屋から来てくれた酵素風呂のお客さんが、「池井戸潤さんの本が好きで、中でも『ハヤブサ消防団』が好きで八百津町に来てみました」と言われた。
もう一人のお客さんからも「ハヤブサ消防団、面白いから尚ちゃんも読んでみ」と言われて、これは読まないわけにはいかないと買った。最初Audibleで聞いていたのだけれど、鶏ちゃんの発音が「Kちゃん」になっていることや八百津弁に違和感があり、八百津商店街にある司馬書店さんにて書籍で買った。
司馬書店さんでは、ハヤブサ消防団の続編「ハヤブサ消防団 森へ続く道」が積み上げられ、売られていた。池井戸潤さんのサイン入りで!
読んでみると、地元の人としてはとても面白い。かなりの八百津ネタが詰まっている。これは、八百津の人が読むと面白いし、都会に住む八百津出身の人にとっても面白いと思う。近隣の市の人にとっても八百津が気になる人は楽しめる。
八百津の観光地、杉原千畝記念館の横にあるハヤブサミュージアムは、ドラマのハヤブサ消防団が終了してから建てられた。

「ドラマが終わってから建てられるなんて遅すぎる」という声があったけれど、訪れるとドラマのセットが置いてある。おそらくドラマが終わってからしか作れなかったのだろう。
喜ばしいことに今年8月に続編が出た。だからハヤブサミュージアムもにぎわっていた。ミュージアムの人に「続編もドラマ化されるんですか?」と聞いたら「ドラマ化されます」と断言していた。「2年後くらいかな?でもまずは本が売れないとね」とのことだったので是非読んで頂きたい。
本の内容だけれど、池井戸さん曰く「本には、本当にあったことが半分くらい書かれてある」とのことだった。だから本格ミステリというよりは、どちらかというと八百津を味わう本になっている。展開はどんどん怖くなっていってサスペンス要素もあるのだけれど。
ネタバレになってしまうが、作中に宗教団体を母体とするソーラーの会社が地元の土地を買っていく話があったが、「宗教団体が八百津の土地を買い漁る」話は本当にあったことらしい。その八百津の山奥に聖地を作ろうとしていたらしい。(本にあるような殺人を犯す宗教団体ではないらしいけれど。)結局その聖地は八百津ではない別の場所に建てられたそう。
そんな地元民さえ知らないこともいろいろ書いてある。自治会への入会、そして消防団への入団、へぼをどうやってつかまえるのか、久田見のからくりだんじり祭り、四季折々の季節の移り変わりに、燈明当番。「書いておかないと時と共に消え去ってしまうことかもしれない」という思いも池井戸さんにはあったそうだ。
時とともに風化してしまう事柄は多々あるだろう。私が幼稚園くらいの頃、家の離れはぼっとん便所だった。そしての肥を汲んで畑に撒くという今ではしていないことを、私の祖父がしていた。肥をかつぐ祖父を「げげ!」と思いながら見ていた記憶がある。
そんなことを私の子どもたちは知らない。祖父からは戦争でボルネオ島に行って魚雷にあたり、溺れていたら助けられて帰ってきたという戦争の話を聞いたことがある。父からも私や私の子どもたちが知らない昔話を改めて聞いてみようかと思った、そんな気持ちにさせられた本だった。
次回はハヤブサ消防団に出てくる八百津の店やお祭りをご紹介しようと思う。

